若人の考えていること。

思いのままに書いています。

指導者の役割

「基本的な生活習慣がなっていないから上手くならないんだ。」

 

私も野球人生で、何度か耳にした言葉だ。

 

しかし、私はこの言葉を疑ってやまなかった。

 

なぜなら、私より野球が上手くて、レギュラーとして試合に出ているヤツらの生活習慣や態度は、私よりはるかに悪いヤツもいたからだ。

 

高校も大学も野球部の寮に住んでいたから分かるが、いい加減なヤツは、とことんいい加減だ。

 

私は

睡眠時間は確保しないと身体に支障が出るし、

部屋はある程度は綺麗に保っていたし、

挨拶だって心掛けたし、

寮の規則は基本的に守った。

 

でも、野球ではレギュラーになれなかった。

 

屁理屈かもしれないが

この辺を、指導者として理解しておく必要があると思い、考えてみた。

 

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「基本的な生活習慣がなっていないから上手くならないんだ。」は本当か。

 

この件に関して、

私が尋ねた指導者がいる。

 

それは高校女子バスケット界の名将

桜花学園の井上眞一監督だ。

 

全国大会最多64度の優勝を誇る超強豪だ。

 

私は大学3年に野球を離れた後、

全国の強豪部活動の練習を見て回った。

 

NHKの「プロフェッショナルの流儀」を

見て以降、絶対に一度お会いして話を聞きたいと思っていた人物だ。

 

その機会をもらい、井上監督とのお話しさせていただいている中で、こんな事を言っていた。

 

「"基本的な生活習慣ができていないから上手くならない。"って言ってる指導者は技術指導ができないだけだ。」と。

 

とても驚いたが、心底納得した。

 

誤解を招く可能性があるので言っておくが、

 

桜花学園の選手達は、

挨拶はしっかりするし、

礼儀正しいし、

気遣いもできるし、

玄関の靴も揃えられている。

 

おそらく他の学校の選手達よりも

礼儀やマナーなどの、基本的な生活習慣・態度はしっかりしている。

 

井上監督は、指導者としてそれを伝える事は

大切であるが、プレーはプレーだし、

生活態度は生活態度。

 

競技のプレーと、それらを一緒にしてはいけない。という意味で言ったのだと私は解釈した。

 

指導者の役割

 

指導者の役割は

①パフォーマンス(職務遂行機能)

②メンテナンス(集団維持機能)である。

吉井理人さんの著書「最高のコーチは教えない」に書いてあった。

 

つまり、

「どれだけ野球を上達させられるか」

(技術指導)と

 

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「どれだけ組織を良い形で活動させられるか」

(組織マネジメント)

 

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という2つである。

 

そして、この2つに加えて

"部活動"を指導する教育者として

もう一つの役割がある。と巷ではよく言われている。

 

それが

③ベーシック(基礎社会生活消化機能)

「社会生活を送る上で身につけておいた方がいい事を教えること」

である。

 

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挨拶、礼儀、気づかい、マナーなどだ。

 

なぜ、これらが必要なのだろうか?

 

「これができないと社会で通用しないから」

とよく聞くが、私はいまいち腑に落ちない。

 

あなたのいう社会って何?

本当に通用しないの?

 

そこを深掘りしていく。

 

本当に

「礼儀、挨拶、返事、掃除」

は必要だったのか?

 

「礼儀、挨拶、返事、掃除」

とは東北高校野球部の指導方針の1つである。

 

まさに先程あげた③ベーシックの部分である。

 

ここで重要になってくるのが、

「褒める時は

         人柄を褒める。

  叱る時は

            行動を叱る。」

 

という心理学の動機付けで重要なことである。

 

つまり、

③ベーシックを叱ると、行動を叱れない。

直に、ダイレクトに、まともに、

人柄を叱らなければならない。

 

だから、礼儀やマナーの事で叱られたくないし、叱りたくないのだ。

 

よく、

「スーツ着ていった方が良いかなぁ。

いや、でもなぁ。スーツの方が無難だろう。」

 

とか。

 

「お世話になった上司の方に、お子さんが産まれたんだけど、お祝いの封筒はこれで良いのかしら、金額はいくら包めばいいのかしら。」

 

という事を考えたり、相談を受けたりするのは

こういった事も影響しているのだろう。

 

服装は人柄がでるし、

マナーを知らなければ失礼にあたる。

 

服装やヘアスタイルを褒められて嬉しいのは

人柄を褒められるからである。

 

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叱る方も、正直叱りたくないし、

もし、叱られたならば

叱られるた方の、自己肯定感が急降下する。

 

だからこそ学生のうちに、この辺は身につけておきたいし、もっと言うなら1年生などの早い段階でこの辺の指導は終えたい。

 

社会人になってすぐに研修でこの辺を徹底的にやらされるのも同じ理屈だろう。

 

この辺りで身につけられないと

自己肯定感が安定しない日々を過ごすか

言われないまま過ごすかになるのだろう。

 

別に社会で通用するかどうかは分からないが、

身につけておいた方が、無駄に傷つかない。

 

 

そしてそれは私にも同じ事が言えていて、

私もまだ社会人2年目だ。

恐らくあと1.2年だろう

この辺を指摘してもらえるのは。

「叱られビリティーがあるのは。

 

まとめ

 

世の中の指導者はこの、

②メンテナンスと③ベーシックを

ごちゃ混ぜで考えている人が多いように思う。

 

②メンテナンスが欠ければ、

①パフォーマンスは伸びないが、

 

①パフォーマンスと

③ベーシックは別のものである。

 

しかし、③ベーシックは

指導者として伝えなければならないと

私は考えている。

 

というのが私の結論である。

 

 

菅野雅之

 

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